5冊目:『死に至る地球経済』
5冊目に選んだ本は浜 矩子著『死に至る地球経済』です。CFOからは小説とマンガ以外なら何でも良いと言われていましたが、一応研修的な位置づけでこのやり取りが行われていたので今回も経済トピックです。今回も岩波ブックレットから選びました。相変わらず逃げています。
本の概要は以下の通り(「BOOK」データベースより)↓
解消されないデフレに苦しむ日本。「ギリシャ問題」で財政破綻の脅威を最初に世界にみせつけたヨーロッパ。景気の二番底を迎えようとするアメリカ。高度成長を見せつける中国。2008年9月の金融大激震「リーマン・ショック」から2年、この間の地球経済は、どのような顛末をたどり、そして今、どのような状況に到達しているのか。グローバル経済の新しいあり方を視野に入れ、現状を分析し未来を模索する。
この本の要旨レポートに対するCFOのコメントはこちら。
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<財政主導型成長の限界>
合理性のある財政が必要な事(財政規律のあること)は論を待たない。貨幣が輪転機で作られる以上、規律の無い財政はハイパーインフレを招来する。財政は経済の再建のためにあるのであって、財政のために増税や歳出削減によって財政を立て直すのはおかしい。いずれにしても、今日の状況は切迫してる。理屈は分かるが、論理矛盾では?
<終焉間近の基軸通貨体制>
レバレッジで作られた過剰な需要が収束するのが今の経済。レバレッジの大きさに比例して谷も深い。企業会計で言うと、何処かでP/Lで損失処理をしないと、B/Sの含み損がなくならないと言うのと酷似している。個人的には、通貨は軍事力に裏打ちされないとダメなのか?とも思います。
<再暴走か、大縮減か>
解消と思うが、上手く行くと調整インフレという手法で国家の大きな債務を減ずると言うストーリーもありうる。これがベストシナリオ。最悪は、戦争と言う過程を経て含み損を消すと言う悪夢。
<中国は救世主になれるのか>
(中国経済はこれからが正念場という意見に対して)だから如何なんだ? と言いたい。確かに、大きな需要を作ることが出来るし、乗数効果も大きい。残念ながら中国の需要に期待しなくてはならないと思う。
<そして日本は?>
後退と言うより成熟と言うべきかも知れないが、(スウェーデンは)学ぶべき国家と思う。成長戦略とはコンクリートの箱物を作ることでなく、需要そのものを変えていくことに有る。成熟した社会の有るべき需要とは何なのかを考えて見ると良い。変な話、死に方に関する需要なのかもしれない。
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コメントの中でベストシナリオだという調整インフレについて、なぜ日本は行わないのかという問いにCFOが答えてくれました↓
ネックは「制御できない恐れ」だと思います。
調整インフレ、管理インフレは管理できないと狂乱インフレになる可能性があります。
貨幣供給量を調整できても、流通速度が調整できない可能性があります。
其処を中央銀行は最も警戒するのではと思います。
今の白川総裁はシカゴ大学で勉強しています。此処は、マネタリストの牙城で調整インフレには極めてネガティブな人が多いと思います。
色々考える癖をつけてください。
通貨の流通速度、、、当時の私にとっては初めての単語でした。
色々考える癖をつけていきたいと思います。
4冊目:『チーズはどこへ消えた?』
4冊目に選んだ本は、スペンサー・ジョンソン著『チーズはどこへ消えた?』です。
本を読んで要旨を纏めるという作業に若干慣れてはきましたが、まだ薄くて早く読み終えられる本という基準で探していました。
本の概要は以下の通り(「MARC」データベースより)。
「迷路」の中に住み、「チーズ」を探す二人と二匹の物語。時代や状況の急激な変化にいかに対応すべきかといった、人生の様々な局面を象徴している。世界のトップ企業が研修テキストに採用している寓話。
この要旨レポートに対するCFOのコメントは以下の通り↓
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貴信拝読しました。この本はズーッと昔に発売されているの書物で、概要は色々な経営モノに採用されていると思います。
さて、ポイントは貴殿が整理されている通りです。変化対応力と変化観察力が鍵だと思っています。それには本質を考えるクセ、此処で言うと、」チーズが何故此処にあるのか?」と言うそもそも論が考えられているかと言う話です。其処まで行けば、「何時か無くなる」「何時無くなる」「如何すべき」と言った当たり前の判断と行動が求められます。
成功体験、上手く言った体験も疑って掛かる勇気と原点論へのこだわりが必要です。デカルトの言葉に「我思う故に我有り」が有りますが、これは「疑って掛っても疑う自分の存在は疑えない・・・という話です。難しい話ですが、面白い言葉です。
仏教で言う「無常観」、般若心経に言う「有るものは無い、無いものは有る」「見えるものは見えない、見えないものは見える」と言った原点論に観察が及ぶ事ができれば、なお結構かと思います。
整理するとき、2匹のネズミと2人の小人を4象限で区分して状況を分析すると分かりやすいと思います。その結果が、貴兄の結論に裏打を与えるでしょうね。
引き続き頑張ってください。
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私がCFOの代わりにに本を読み、その内容を簡潔に纏める。それにCFOが別の視点からの意見や追加情報をくれる。そんなルーティーンが出来上がってきたなと思った4冊目でした。 それでは。
- 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/11/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 11人 クリック: 153回
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3冊目:『グローバル資本主義と日本の選択』
3冊目の薄めの岩波ブックレットに逃げてしまいました。もともと読書の習慣がなかったので、毎週1冊本を読んでその要旨を纏めるというのは最初はしんどかったです。
この本は金子 勝、橘木 俊詔、武者 陵司氏らが参加して2009年11月に行なわれた東北大学主催のシンポジウムをまとめ、加筆したものです。
本の情報は下記の通り。
もう、一刻の猶予もない――「分配か成長か」の二項対立の発想を超え、新しい世界像を描き出せ! 分配の原資は必要。その確保のため成長は追求すべき。しかし、成長によっては解消しない貧困問題の解決は、待ったなし。世界史上未曾有の経済危機において、日本のとるべき道とは。白熱のシンポジウムをまとめる。
この要旨レポートへのCFOのコメントはこちら↓
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少し忙しくなって来ましたけど以下連絡します。
第一項目
行き過ぎた自由主義信奉、これが反省期にあるのが今。管理された資本主義が 目指すべき姿と思うが、其処への道は果てしなく遠い。経済社会は均衡を目指すものだが、 同時に、均衡を破る破壊力も内在する。根源的な矛盾。資源インフレは、資源が有限であるから。 資産デフレは? 出口が環境バブルとハイパーインフレのいずれかと言う著者の考えは肯首できる。
第二項目
余り何を言っているとも言えない様な段落。企業の多国籍化は好んで行なっている訳ではない。 そうしないと企業計算が出来ないと言う受身の理由がメイン。所謂超過利潤がなくなるときがこのビジネスモデルが成り立たない時期になるが、其れがリスクと言うのは何ゆえか? 私個人としては、そんな時期は来ないと思う。理由は、必ず事業は受身の理由とは言え、多国籍化して新しい超過利潤を探すものであるから。
第三項目
根源的には、一人ひとりの需要には限界があり、資本主義が供給を最大限にしようと言う性(さが)とも言うべき行動がある。つまり、供給>需要になるのが基本の構造。これを解決するにグローバルなガバナンスと言うが、今一つ理解できない。(イメージが沸かない)経済が多極化するとの論点は肯首できる。
第四項目
成長していないのは事実。其れを資本主義が機能しないと言うのは論理が通るだろうか? 確かに数値が拡大しない事から、企業経営は困難を極めている。が、国民生活はそこそこの豊かさを享受している。これがデフレのメリット。 貧困が若年層に及ぶ…とあるが、昔の若者は今の其れより遥かに貧困であった。問題は、貧困の固定化(若年層が何時まで経っても貧困から抜けられない+貧困の再生産)である。其れが、高度成長のパターンに起因すると言う話はスッキリと理解できない。何故でしょうか?
第五項目
貧困の日本の根源は、グローバル化にある。つまり、日本人よりも格段に安い(それも良質の)労働力が供給されて来たからである。不景気だから貧困になる…は解りやすい話だが、根本はグローバルであり、其れは、89年のベルリンの壁崩壊から始った。
第六項目
貧困の固定化が大問題。固定化は2つあると上記で述べたが、特に再生産される貧困は重い課題。機会の平等と言うのはたやすいが、その機会も(親の)経済力が作るのであれば、機会の平等は、ある程度の経済の平等を前提とする。エリートの再生産も必要であるが、中間層の拡大と結果としての機会の平等を図るには、少し立ち止まって、制度改革を考えなくてはならない。子供手当てなどは考えるヒントの一つ。危機感を共有する事は大事だが、入り口。この膨大な時間とコストを世代を超えて負担するコミットが大事。その意味で、低福祉低負担の社会科? その逆か? 或いは中間か? を民意は決める必要がある。
僕も勉強させて貰ったり考えたりしています。これを続けていって下さい。
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本の知識+αをCFOから学べる非常に贅沢な経験です。それでは。
グローバル資本主義と日本の選択―富と貧困の拡大のなかで (岩波ブックレット NO. 779)
- 作者: 金子勝,武者陵司,橘木俊詔
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2冊目:『世界金融危機』
2冊目に選んだのは、金子勝、アンドリュー・デウィット著の『世界金融危機』という本です。岩波ブックレットは普通の新書よりも大分薄くすぐ読めるので、こういった宿題にはピッタリでした(さっそく課題から逃げている、、、)。
本の内容は以下の通り(「BOOK」データベースより)
サブプライムローンの破綻から、原油高や食料難が拍車をかけて進む世界的規模の金融危機―。いま、何が起きているのか。そして、どうすれば食い止められるのか。深刻な世界同時不況と言われる現在の状況を、詳細に解説する。
要旨レポートへのCFOのコメントはこちら↓
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以下、要旨レポートへの返信です。
- 影の銀行システムと言う表現と言葉の定義には?が有ります。 本来証券を担保にして金融を行うと言うシステムがあり、今回は このシステムを使っただけと(僕は)理解している。
- 従来との違いは、金融数学を使って、あたかもリスクがない証券が存在するかのごときロジックを使ったこと。分離沈殿したリスクはヘドロと化して悪臭を放つ…のが理の当然。
- 本来リスクが高く、その分金利負担も大きいSub Primeの商品をリスクを沈殿させた上澄み液だから大丈夫として売りまくった組織の倫理感覚が問われるもの。仲介した金融機関は潰れて当然。
- この危機が地球温暖化との関連で増幅され,その後進国としてのアメリカが大きな痛手を蒙った? 其れに追随していた小泉・竹中路線は影響を大きくした? 此処は良く解らない。金子さんは反小泉竹中路線の急先鋒だったから、この話は割り引いて読みたい。僕も個人的には、小泉路線は嫌いですけどね。
- 資産物価の急落と資源価格の高騰と言う話が出てくるが、如何いった概念ですか?世界でデフレが進んでいるのは、新しい労働力の供給が需要の伸びを上回っていると言う問題。これは供給価格が上がると言う現象を通じて時間が解決する。資源価格は概ね右肩上がりになる。需要者として市場に参加する新興国の国民が其れを押し上げると思っている。
- 貨幣の本質とか役割とかを考えてみると面白いです。 資本主義が冨を蓄える経済マシーンであり、其れが貨幣の形で蓄積されすぎると昨今のバブルになります。バブル解消には大幅な浪費が必要です。ケインズの有効需要理論もこの浪費を語っています。過去、残念ですが、戦争がこの役割をしてきましたね。悲しい話です。
ではでは
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新入社員が本を読んでその要旨を纏めたレポートに、CFOがわざわざ時間をとってコメントをくれている。何とも有難いです話です。
- 作者: 金子勝,アンドリューデウィット,Andrew DeWit
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/10/07
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最初に選んだ本は『アイデアのつくり方』
実際は本を読んた後、要旨を自分なりにWordでA4一枚くらいに纏めて送ったのですが、それをそのままブログに載せると著作権に引っかかるので止めておきます。
その代わりにwikipediaから情報を以下抜粋。
『アイデアのつくり方』(アイデアのつくりかた、A Technique for Producing Ideas) は、アメリカ合衆国の実業家ジェームズ・ウェブ・ヤングが著した書籍。
レポートを読んだCFOからのコメントがこちら↓
貴信要旨レポート拝見しました。お疲れ様。
僕はこの書物を読んだ事がないので、意見を述べる立場ではないですが、アイデアー考えーがどの様にして出来る、如何して作るものという説明だと思って以下雑感です。
■ 広い意味での関心・興味、Interestがマズ第一
■ 五感を使った研ぎ澄まされた観察力
■ 何故かを問い続ける論理力
■ 背景・理由を自分で納得でき、仮説を作る構成力
■ 仮説を検証る展開力
■ 明確なアイデアと出来る表現力⇒説得力へ繋がる
が必要なんでしょうね。
貴信にも有りますが、箇条書きをしている点はいい発想です。続けてください。
それから、僕の表現で分かると思いますが、文章の最後が「体言」になっていて且つ、「力」で韻を踏んでいます。これは、表現の方法として有効ですから覚えておくと良いですよ。
以上取り急ぎ。
こんな感じのやり取りがこれから毎週続いていきます。
- 作者: ジェームス W.ヤング,竹内均,今井茂雄
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
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