新入社員とCFOの禅問答日記

社会人1年目の記録

3冊目:『グローバル資本主義と日本の選択』

3冊目の薄めの岩波ブックレットに逃げてしまいました。もともと読書の習慣がなかったので、毎週1冊本を読んでその要旨を纏めるというのは最初はしんどかったです。

この本は金子 勝、橘木 俊詔、武者 陵司氏らが参加して2009年11月に行なわれた東北大学主催のシンポジウムをまとめ、加筆したものです。

本の情報は下記の通り。

もう、一刻の猶予もない――「分配か成長か」の二項対立の発想を超え、新しい世界像を描き出せ! 分配の原資は必要。その確保のため成長は追求すべき。しかし、成長によっては解消しない貧困問題の解決は、待ったなし。世界史上未曾有の経済危機において、日本のとるべき道とは。白熱のシンポジウムをまとめる。

 

この要旨レポートへのCFOのコメントはこちら↓

 

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少し忙しくなって来ましたけど以下連絡します。

 
第一項目 
行き過ぎた自由主義信奉、これが反省期にあるのが今。管理された資本主義が 目指すべき姿と思うが、其処への道は果てしなく遠い。経済社会は均衡を目指すものだが、 同時に、均衡を破る破壊力も内在する。根源的な矛盾。資源インフレは、資源が有限であるから。 資産デフレは? 出口が環境バブルとハイパーインフレのいずれかと言う著者の考えは肯首できる。

 
第二項目 
余り何を言っているとも言えない様な段落。企業の多国籍化は好んで行なっている訳ではない。 そうしないと企業計算が出来ないと言う受身の理由がメイン。所謂超過利潤がなくなるときがこのビジネスモデルが成り立たない時期になるが、其れがリスクと言うのは何ゆえか? 私個人としては、そんな時期は来ないと思う。理由は、必ず事業は受身の理由とは言え、多国籍化して新しい超過利潤を探すものであるから。 


第三項目 
根源的には、一人ひとりの需要には限界があり、資本主義が供給を最大限にしようと言う(さが)とも言うべき行動がある。つまり、供給>需要になるのが基本の構造。これを解決するにグローバルなガバナンスと言うが、今一つ理解できない。(イメージが沸かない)経済が多極化するとの論点は肯首できる。 


第四項目 
成長していないのは事実。其れを資本主義が機能しないと言うのは論理が通るだろうか? 確かに数値が拡大しない事から、企業経営は困難を極めている。が、国民生活はそこそこの豊かさを享受している。これがデフレのメリット。 貧困が若年層に及ぶ…とあるが、昔若者は今の其れより遥かに貧困であった。問題は、貧困の固定化(若年層が何時まで経っても貧困から抜けられない+貧困の再生産)である。其れが、高度成長のパターン起因すると言う話はスッキリと理解できない。何故でしょうか? 


第五項目 
貧困の日本の根源は、グローバル化にある。つまり、日本人よりも格段に安い(それも良質の)労働力が供給されて来たからである。不景気だから貧困になる…は解りやすい話だが、根本はグローバルであり、其れは、89年のベルリンの壁崩壊から始った。

 
第六項目 
貧困の固定化が大問題。固定化は2つあると上記で述べたが、特に再生産される貧困は重い課題。機会の平等と言うのはたやすいが、その機会も(親の)経済力が作るのであれば、機会の平等は、ある程度の経済の平等を前提とする。エリートの再生産も必要であるが、中間層の拡大と結果としての機会の平等を図るには、少し立ち止まって、制度改革を考えなくてはならない。子供手当てなどは考えるヒントの一つ。危機感を共有する事は大事だが、入り口。この膨大な時間とコストを世代を超えて負担するコミットが大事。その意味で、低福祉低負担の社会科? その逆か? 或いは中間か? を民意は決める必要がある。 

僕も勉強させて貰ったり考えたりしています。これを続けていって下さい。

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本の知識+αをCFOから学べる非常に贅沢な経験です。それでは。

 

グローバル資本主義と日本の選択―富と貧困の拡大のなかで (岩波ブックレット NO. 779)

グローバル資本主義と日本の選択―富と貧困の拡大のなかで (岩波ブックレット NO. 779)